私は29歳でアメリカで起業して、既に丸24年になります。その間、国内3社、海外1社を創業し、株主や役員として設立に関わった会社や団体を入れると、合計6社になります。
これまで数多くの失敗と少しの成功体験を重ねてきました。ユニクロの社長ではないですが、冷静に見て1勝9敗くらいですね。ただ、成功体験よりも失敗体験のほうが学びが多いのは事実です。
そんな拙い経験の中でひとつ言えるのは、登るべき頂と帰り道(出口)を決めているかがとても重要だということです。
よく、散歩の途中で富士山に登った人はいないといいますよね。高い目標に向かうにはそれ相応の準備が必要だということです。しかし、目標に高い低いはなくて、自分が理想とする企業像を設定することが、戦略的にとても重要なのです。
たとえば、一人企業や数人程度の社員で十分な利益を確保したい。それも立派な目標です。そんな目標設定をしておきながら、大手企業の社長講演を聞いたり、マス戦略などを勉強しても、なんとなくやる気になるだけで実践には生かせません。中小企業の社長が大前研一さんの本を読んでマクロな動きを知っても、勉強にはなるけれど実践には生かせないですよね。
自分はどんな会社を作りたいのか。そのイメージを持っておかないと、マーケティングも資本政策も間違ってしまいます。
同時に、出口もイメージしておきたいですね。前述の富士山の話と同様、何も考えずに『幸せな出口』を作れたケースはごく稀です。○○億円で売却などという事例は、多くの場合、徹底的にそれを想定して動いています。それが、以前のブログで書いたM&A思考です。散歩の途中で高値で売っちゃった、というまぐれ当たりのようなケースを期待してはダメです。
会社を作ったなら、どれくらいの社員でどんなビジネスを目指すのか。その後、どの時点でどんな形で引退するのか。それをイメージするのとしないのとでは、目標にたどり着くまでの時間と労力が全然違いますよ。『幸せな出口』のためには、それが必要です。