M&Aにこそ、経営のエッセンスが詰まっている

2022年11月30日に、私の4冊目の著書が発売されます。と言っても、15年ぶりに書いてみました。

起業家が書いた 日本一わかりやすいM&A起業の教科書

これまではWeb系主体の著書だったのですが、M&A関連は初めてです。

タイトルどおり、この本は起業家を目指す人を主な対象にしていますが、同時に、現在会社を経営していて、何らかの形で成長させたい人に向けても書いています。特に、異業種の経営に参入して、既存事業とのシナジーを生み出したい人は、ぜひ読んでいただきたいと思っています。

これまで、まがりなりにも25年間事業を経営してきて、M&Aについていつも思うのは、M&Aのプロセスにこそ経営のエッセンスが詰まっているということです

M&Aの第一歩は、まず自社の価値を知ることです。これは売り手にも買い手にも言えますが、特に会社や事業を売りたい場合、いくらで売りたいかを考える際に、必ずこれは必要です。(もっとも、それには絶対的に正しい計算方法はありません。第三者が納得する計算方法で把握していればいいです)

一見簡単で、誰もがわかっているかのように思いますが、実はこれを把握している経営者は少数です。試しに、身近にいる社長さんに聞いてみてください。恐らく、数字で即答する人は少ないと思います。少なくとも、PLばかりでBSの読み方を知らない人は、絶対にわかりません。

次に、市場における自社の強みを知る。これも、売却時の値付けには不可欠です。そしてこれも、即答できる人は少数派です。意外と、当事者はわかってないものです。

その後、どんな相手なら自社にマッチするかを調査します。その際は、企業規模やビジネスのシナジーなどを想定して、知り合いの会社、M&Aプラットフォーム、帝国データバンクなどの調査会社を使って調べます。

調べた会社に打診をします。その際、アドバイザーは企業名等を伏せた状態で打診をし、興味を示した人にはNDA(秘密保持契約)を結んで情報を開示します。ここから交渉が始まります

売り手が設定した価格は、あくまで希望価格です。売買は、あくまで売り手と買い手の希望額の落としどころで成立します。通常の商取引となんら変わりはなく、この価格以下なら売らないという撤退ラインを設定しておくことも大切です。

大筋の合意を得たら、詳細な調査に入ります。ここで重大な事実が発覚したら、すべてが水泡に帰すこともあり得る、重要なプロセスです。

そこで問題がなければ成約し、ビジネスがそこからスタートします。仮に5,000万円で購入した会社や事業が、自社とのシナジーでどこまで価値を増やすことができるか。買い手にとっての経営手腕が問われます。

そして、それらのすべての土台にあるのは、当事者それぞれの人間性です。信用のできない人とは取引できないのは当然です。

極めて大雑把に書きましたが、これだけ見ても、ビジネスに必要なことはすべてM&Aに詰まっているといっても、言い過ぎではないことがわかると思います。

今回の書籍を読むと、それがよく理解できると思います。これから起業する人、今後拡大したい人には、ぜひ読んで欲しいと思っています。

起業家が書いた 日本一わかりやすいM&A起業の教科書

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