時流を取り込む

ビジネスにおいて、私が最も重要視しているのは『時流に乗る』ことです。

エスカレーターを想像してください。上りのエスカレーターは、じっとしていても上にあがります。階段を上ると倍のスピードです。

一方、下りのエスカレーターは、じっとしているとどんどん下に行きます。そこで上にあがろうとするのは、上りエスカレーターの何倍もの労力がかかる。

まさにこれが時流です。時流に乗らない、いわゆる衰退産業では、努力しても現状維持が精一杯。何らかの変化を起こさないと、その状況は変わりません。

たとえば、工具屋さん。製造業が使う工具を販売する工具屋さんというのは、大小合わせると全国至るところに存在します。もう何十年も、軽トラやバンで工場を回って、工具を販売するというビジネスモデルで、粗利1割程度の超薄利。競合も多く、特に大阪では値段勝負の消耗戦が酷い。おまけに、この業界は大手メーカーや商社を頂点とするピラミッド構造が強固で、なかなかルートの変更ができない。

そんな「下りエスカレーター」業種の後を継いで、一気に「上りエスカレーター」に乗り換えたのが、大阪の大都という会社です。製造業向けの工具ではなく、家庭用のDIY用品に舵を切り、販路もネットに切り替えました。今や、日本のDIY業界では押しも押されもしない存在です。

その場合は、「乗り換えた」事例です。でも、他の会社にもそれをやれというのはなかなか困難です。よほどの覚悟がないとできません。

そこで私が熱烈に提案しているのは、『時流を取り込む』ことです。業務の一部に、上りエスカレーターを取り込むのです。

上りエスカレーターの代表的な業種はITです。前述の工具屋さんの事例のような全面転換ではなく、業務の一部をEC(ネット通販)に置き換える。ただし、そこは従来の事業との兼務だと結果が出ないので、完全に担当を分ける。それくらいの準備は必要です。

どんな業種でも、時流を取り込む場所はあるはずです。それを一緒に探して、次の一手を作っていくのも、当社の重要な仕事です。

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