通販のキモをM&A的視点で考える

通販といえば、何を連想するでしょうか?

世代によっては、日本直販などの高齢者向け?テレビショッピングかも知れません。BSで四六時中流れているようなショップチャンネル的なものや、ジャパネットなんかもありますね。

あるいは、通販生活、ベルーナなどのカタログ通販もあります。

それよりも若い世代になると、圧倒的にネットです。アマゾンや楽天、Yahooなどですね。メルカリなんかもあります。

その中で、我々事業者が何らかの商品を販売する際、気軽に参入できるのは、やはりネットですね。

では、M&A的目線でそれを見てみましょう。仮にネットで通販したとして、そのサイトを売却するとします。その際、当然バリュエーション(価値評価)を行いますが、通販企業の「価値」とは果たして何でしょうか?

商品のユニークさでしょうか?あるいは商品の量?売上高?特許などの権利関係?

いずれも価値を計る上では重要な指標ですが、最も重要なものがあります。

それはズバリ『顧客リスト』です。

一年以上動きがない仮死状態のリストではなく、生きたリストです。これが膨大にある企業は、事業が赤字であっても非常に高値が付くケースがあります。このリストを増やすことこそが、通販企業としての価値を高めることと言っても言いすぎではありません。

ただですよ。問題はここからです。

それはもちろん、その顧客リストが自社の資産である場合です。他社の資産の場合は、それを勝手に譲渡することなんてできないですよね。当たり前ですが。

何が言いたいのかというと、既存のネット通販でモノを売る場合、顧客リストが自社のものにならないのです。誰のものかというと、プラットフォームを運営している会社です。楽天市場であれば、楽天です。

楽天は、出店者が一生懸命集めたリストに対して、楽天カードだの銀行だの証券だのトラベルだのモバイルだのと、いろんなサービスを案内しています。いわゆる「楽天経済圏」です。もちろん、メール配信を拒絶すると送られてこない(その設定がまためんどくさい)のですが、そのようにして出店者が集めたリストを元にビジネス展開しているのです。誰にも文句は言われません。そのリストは自社の資産ですから。

一方で、それを集めた出店者は、リストに対してメールを配信するにも楽天のシステム経由のみで、しかも別料金。DLはできるけれど、それを使ってDMなんか送ろうものなら、即規約違反。

なんすかこれ。もしかしてドM?

いや、実は私も何度かサイトM&A(ECの事業譲渡)の経験はあるのですが、楽天の場合はほんとややこしいのです。てか、オーナーを変えるのは無理といってもいい。

つまりですよ。がんばって楽天で売上伸ばしても、楽天を退会した時点で価値ゼロになるのです。ゼロです。

楽天を悪者のように言ってますが、他のプラットフォームも同じです(全部が全部知りませんが)。顧客リストが自社の資産にならない以上、そのプラットフォームに永遠に依存しないと価値ゼロになるのです。何年がんばっても、何億売っても。

M&A的視点で見ると、そういうことです。つまり、ECはプラットフォームに依存するなということです。

よくビジネスホテルなんかでも、自社サイトが最安値!と謳っていますよね。APAホテルなんかも。東横INNも「公式割」とかで自社サイトでの予約には特典をつけています。楽天やじゃらんに払う手数料の問題もありますが、やはり一番はリストでしょう(客層の問題もあるようですが)。

もちろん、ポイントで囲い込んでいるこれらプラットフォームの存在は大きくて、完全無視するわけにはいきません。しかし、うまく組み合わせて自社サイトに誘導しています。

EC事業者は、どうしてもプラットフォーム売上に頼ってしまい、自社サイトは苦戦しているところが多いと思います。しかし、だからといって自社サイトをおろそかにするのは、ビジネスセンスがない。単品のLPを作りこんで、マーケティングを組み立てるのでもいいでしょう。何らかの形で、自社資産としての顧客リストを増やす努力をしてください。いざという時、それが貴社を助けることになるかもしれません。

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