先日「オーナー社長なんて存在しない」というブログを書きました。正確にはそんな役割はなくて、オーナーと社長はそれぞれ別物だという意味です。中小企業の場合、多くは社長が株の過半を持っていますから『オーナー社長』と言われるのですが、その二つを自分の中で分離する客観性が必要なのです。
理由は2つあって、ひとつは役割が異なるから。もうひとつは、感情を排する訓練になるからです。
社長って、会社や社員を「自分の子供だ」と思い込む人が多いですね。そんな愛情を持つことはいいことだと思われがちですが、時に大いにマイナスに働きます。「公私混同」はこの気持ちから来ていることは、先のブログで書いたとおりです。それ以前に、社長を自分の親だと思っている社員がどれだけいるのかという話で。多くは空振りなんですよ。
そんな感情は「会社は自分のものだ」というオーナー意識から来ています。実際、会社は社員のものだという意見も根強くありますが、それは実体をきれいにオブラートで包んでいるだけのことで、現実は議論の余地なく株主の所有物です。株主は、役員(社長含む)の生殺与奪権を持っていますし、その他の重要な意思決定には株主総会の了承が不可欠です。特に取締役会を設置していない小さな会社(取締役会非設置会社)は、設置会社に比べて株主総会の権限が大きくなります。
社長を含む取締役は、あくまで株主から経営を委託された存在なので、そんなオーナー意識と切り離した経営をするべきです。その客観性が、経営にとっては大きなプラスになるのです。
と、ここまでは以前のブログ内容のリピートですが、ここからが本題です。
この客観性は、会社組織だけでなく個人ビジネスにも有効です。有効というか、切り離したほうが絶対いい。
ひとりで何を切り離すのかというと、指示をする自分と、動く自分です。どうですか。説明が適切かどうかわかりませんが、イメージできますかね。
指揮官と兵士がごっちゃになるから、目標から逆算して日々のタスクを設定しても、毎日のいろんな事情でそれが簡単に変化していく。指揮官の指示が兵士の都合によって変わってしまうのです。
指示を出す自分と実行する自分。指揮官は、感情を排して客観的に目標を設定する。兵士の目線で「これ必達!」なんて気合で設定したらダメです。そして兵士は、指揮官を信じてその指示を忠実に実行する。
会社とは、人に稼いでもらうところです。社長が自分で稼ぐのは会社ではありません。
一人ビジネスにも、その視点が必要なんですね。もう一人の自分に稼いでもらうという客観性が。
これ結構ストイックな感じに思われますが、それは指揮官次第です(笑)。あくまで指揮官は冷静に、客観的に目標とタスクを設定して、兵士に稼いでもらってください。