私はM&Aアドバイザーの会社を経営しながら、他社の経営にも参画しています。また、これまで3社創業、1社継承し、事業によっては数十人の社員を雇用してきました。業種は様々ですが、それぞれ少しの成功と多くの失敗を重ねながら、その度にたくさんのことを学んできました。
その学びのひとつが、「現場仕事は社長のサボり」と言うことです。
まさに、かつての私がそうでした。少なくとも「現場仕事をやっていてはダメだ」との感覚はあったものの、その体制をつくることに失敗したのです。そして、他の中小企業を見ていると、それができていない、あるいはやろうとしていない経営者が多いことに気が付きます。
社長がそうなら、社員がそんな感覚を持てるはずがないですよね。以前、経営参画したある会社の社員との面談で、初めて会った社員に「現場仕事はしないなら、何をするんですか?」と聞かれたことがあります。唐突だったのでビックリしましたが、でもそれってとても正直な意見ですよね。それまでの社長が現場仕事中心だったということです。
社長の仕事とは?
では、経営者である社長の仕事とは何でしょうか?
ひと言で言うと、「永続的に成長するための体制と仕組をつくること」だと思っています。その体制の中に社長自身を含めてしまうのが、多くが陥りがちな安易な決着です。経営者がやるべきは、その体制と仕組を継続させるためのマネジメントであり、体制の中で現場仕事をやることではありません。
そのためには、会社の健康状態を常に把握して、先の手を考えないといけないのは言うまでもありません。しかし、ちょっとした財務状況を尋ねると「税理士に確認しないとわからない」という経営者が多いのも、中小企業の現実です。
これでは、社長の存在意義はありません。そこから変わりたくないのなら、今すぐ社長を交代するべきです。
ここで、本題の経営者保証です。これを解除できる状態に会社を改善するのも、社長としての重要な仕事です。
そのためのポイントは3つ。
1.個人と法人の分離
2.財務状況の強化
3.経営の透明性
各ポイントは、それぞれ大雑把な指標ですが、詳細は過去に何度も書いていますし、拙書「M&A起業の教科書」にも、かなり力を入れて書いていますので、ひとつひとつの内容に言及することは避けます。
要は、これらのポイントを常に意識し、銀行が「経営者保証を解除せざるを得ない」(銀行はしたくないはずですから)と判断する状態まで会社を改善することが、社長にとって何より重要な仕事なのです。
実際に解除した事例集を、中小企業庁が公開していますので、ぜひ参考にしてください。
事例で見る経営者保証の解除
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/download/jirei.pdf