WebもM&Aも自力でやれる

私は過去20年以上、Web系の会社を経営してきました。Xにも書いたのですが、昨今のAIの進化によって、Webはよりユーザーのものになり、制作・開発業者は突出した専門性がないと、メシが食えなくなる、と強く思っています。

Web制作や開発会社に求められる専門性とは、どのようなものでしょうか?

  1. クライアントのニーズを把握して、それを的確に形にするクリエイティブ
  2. ニーズを最短で形にするシステムの設計
  3. HTMLやその他の言語に落とし込むコーディング
  4. SEOやMEOの知見
  5. (場合によって)Webマーケティングの知見

ざっとこのような感じでしょうか。

こう見ると、すでに1~3はAIで賄えます。賄えるというよりも、むしろAIの方が遥かに得意な分野でしょう。1に関しては、ニーズを的確に把握している人がプロンプトに落し込む必要がありますが、それさえ出来れば、これまで人力で1日かけてやっていたことは、それこそ数分で出来ます。

その他、人間がやるべき作業は、その出力結果の検証、修正くらいです。そして、AIは今後さらに急速に、驚くような進化を見せるはずです。

現に、私も試しに生成AI(Gamma)で自社の『M&A顧問』のLPを作ってみたのですが、プロンプト入力~全体のアウトライン完成までに5分もかかりませんでした。あとは画面上で細かな修正を加えるのみです。主旨を打ち込めば、小カテゴリーなどは自動で作成して提案してくれます。また、中の文章も自動で生成し、人間はそれを見ておかしなところを修正するだけです。

Gammaが提供する共通ドメインでよければ、そのまま公開できます。カスタムドメインがよければ、月額2,000円ちょっと(2025年3月現在)のProプランに申し込めば可能です。

そうなると、残りは4~5です。しかし、4のSEOやMEOに関しては、一体どれくらいの業者が高い専門性を持っているでしょう?私の体感的には、ほとんどがそれこそネットに転がっているような知識しか持っていません。5のマーケティング知識にしても同様です。

この分野の最先端の情報は、英語で流通していますが、英語でリアルタイムに情報を得ている人も少数派です。

そして、試しにAIのDeep Researchなどでこれらを調べてみてください。その知識量に驚くと思います。もう既に、これら(SEOなどのマーケティング知識も、一般的なものであればAIの方が情報量が豊富なのです

こうして見ると、少なくとも一般的な制作会社がこれまで提供してきたものは、AIで代替されます。AIツールの費用は、高いものでも月額3万円程度です。複数の有料AIを使ったとしても、10万円もあれば十分、デザイナーやエンジニアの仕事を賄えます

これが、すでに起こりつつある現実です。まだ従来の方法でメシが食えているところは、自社でやるのが面倒、あるいは頼める担当者がいないというユーザー(クライアント)の事情に助けられています。

「やろうと思えば自分でできるけど、面倒だからお願いする」仕事で、高単価は見込めません。専門業者は、今後、何らかの専門特化が必要なのは明白で、それは少なくとも5のマーケティング分野、それも業界に特化し、経験に根ざした高い知見が求められると感じています

M&A会社の専門性

私はM&A事業をひとつの柱としていますが、この業界も小規模な案件が増えるにしたがって、同じ思いを強くしています。

実は、私の周りの「M&A強者(巧者)」と言える社長達は、毎年数件~10件の買収を続けていますが、ほぼM&A専門家を使っていません。うち一社は上場企業ですが、社内の人員ですべてを賄っています。

私は、少なくとも買い手企業は、それでいいと思っています。なぜなら、自社にマッチしてシナジーを発揮できる企業、あるいは社長同士のフィーリングが合う企業(これ大切です)は、アドバイザーなんかよりも当然当事者の方がよくわかるからです。

M&A会社が提供する専門性は、一般的には次のようなものです。

  1. 当事者企業のニーズをもとにした相手探し(ソーシング)
  2. 各候補企業との折衝
  3. バリュエーション(企業価値の評価)
  4. 契約まわりの整備(契約書作成など)
  5. デューデリジェンス(会計や法律の専門家が第三者的に入ります)

このうち、少なくとも1と3はAIでできるようになるでしょう(今はまだ満足なサービスが日本では見当たりませんが)。ソーシングに関しては、M&A企業が保有するリストも使えますが、経営者であれば人脈は多く持っているはずですし、理想的な相手と思えるような会社には、自分からアプローチすることも可能です。

2(折衝)に関しては、当事者同士が直接行うよりも、クッションがある方が進めやすいという側面は、確かにあります。また、4と5は専門性が求められるところですので、それらは第三者のアドバイザー、あるいは弁護士や会計士などの士業の存在意義だと言えます。

しかし、それらもスポット的な使い方で十分事足ります。特に規模の小さなM&Aだとそうです。ただし、M&Aの経験のない人には、その勘所が少々難しいかもしれません。

そこで、スモールM&Aの買い手企業向けに、期間限定でM&Aの顧問をする「M&A顧問」を、限定10社で受け付けることにしました。

つい先日公開して、早速一社お申し込みをいただいていますが、まだ9社あります!(笑)たぶん2ヶ月くらいで埋まりますので、興味のある方はお問い合わせください。M&Aは、確実に経営筋力が身につきます

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